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第四十一話 門のふりをするもの

# 第四十一話 門のふりをするもの アカの一言が落ちた後、内側の空気は不思議なほど長く動けなかった。 「門じゃない」 言葉は短かったが、その短さがかえってより深く刺さった。シオンはその文が単なる比喩や感想には聞こえないとすぐ分かった。これは見た目が良いか悪いかの問題でもなく、信念や直感の問題でもなかった。アカはたった今何かを判定した。そしてその判定は、シオンの一行がここまで追ってきたものの真ん中をまっすぐ突いていた。 シオンより先に反応したのはアテルだった。 「どういう意味ですか」 彼が低く訊いた。 アカはそちらを見なかった。相変わらずカエルの懐の中の欠片とルハイの手の中のエテライトを交互に見ていた。人と目を合わせるより、その二つが同じ空間に置かれたときに生じるずれそのものを先に読む目だった。 「門の真似をしてる」 彼女がごく低く言った。 「でも門じゃない」 アテルの表情が微かに固まった。シオンはその顔を見て分かった。これは単に奇妙な比喩を一つ聞いた人間の反応ではなかった。今まで集めてきた承認線と二本線、複数承認構造、切られた順序。その全てをもう一度ひっくり返して見直さなければならないかもしれないという計算が一度に入ってきた顔だった。 「偽物だということですか」 アテルが訊いた。 アカは今度はとてもゆっくり首を振った。 「偽物とも違う」 彼女が言った。 「死んだ真似じゃなくて、門のふりをしてるの」 ルハイがその言葉を聞いてほとんど反射的につぶやいた。 「違いは大きいのか」 アカの視線が初めてルハイに触れた。 「大きい」 彼女が言った。 「死んだものは開かない。でもあれは、開くように見せて人を連れていく」 その言葉が落ちた瞬間、シオンは背中の内側が冷たく冷えていくのを感じた。 開かないものと、 開くように見せて人を連れていくもの。 その二つはまるで違う危険だった。 今まではちぎれた順序を見つけ、死んでいない承認線をつなぎ合わせれば、いつか本物の構造に辿り着けると思ってきた。だがアカの言葉が正しければ、問題は単なる損失や切断ではないかもしれなかった。最初から誰かを間違った方向へ導くように残された構造。門ではないのに門のように見せたもの。 ナシムは笑みを少しも収めなかったが、シオンには彼が今出た言葉を軽くは聞いていないと分かった。ハルンも相変わらず動かず、ナヒラはむしろさらに静かになった。アカがこの種の判定を下すとき、この内側の人間たちはむやみに言葉を足さないようだった。慣れているからではなく、その言葉がどれだけ大きな値を変えうるか知っているから。 ソリンがごく低く訊いた。 「じゃあ私たちは今まで何を追ってきたんだ」 アカは今度はシオン側の欠片をもう少し長く見た。 「切られた跡」 彼女が言った。 「門じゃないのに、門があるべき場所を辿ってきたんだ」 シオンはその言葉が不思議とすんなり理解できた。名前は生き残ったのに順序が切られ、承認線の一部だけが残り、複数承認は構造をさらに曖昧にした。つまり自分たちが追ってきたのは完全な門ではなく、門があったはずの場所の痕跡だったのかもしれない。 その場所に誰かが別のものを被せたなら。 門のふりをするものを。 アテルがもう一歩近づいて訊いた。 「それを見分けられますか」 アカは彼の質問にもすぐには答えなかった。代わりにほんの一瞬だけ目を閉じて開けた。記憶を辿るのでも推測を選ぶのでもなく、今ここで感じている質をもう一度体の中で整理する人間の一瞬だった。 「一人じゃ全部はできない」 彼女が言った。 「でも二つが一緒にあるとうるさすぎる」 今度は全員が同じところを見た。 カエルの懐の中の欠片。 ルハイの手の中のエテライト。 シオンはそのとき初めて理解した。アカがさっきから二つを一緒に見て落ち着かなかった理由を。二つの品がそれぞれ別にあるときはまだ堪えられるのに、同じ空間の中で強く反応しすぎて互いの質を濁らせていたのだ。まるで二つの本物が互いをより鮮明にするのではなく、むしろ強く響きすぎて他のものが見えなくなるかのように。 カエルが低く訊いた。 「離せばいいのか」 アカは短くうなずいた。 「遠くに」 彼女が言った。 「それと静かなところに」 ナシムがそこでようやく口を開いた。 「よし」 彼が言った。 「じゃあ本当の問題は簡単だな。エテライトも要るし、お前の判定も要るし、あの欠片も捨てられないってことだろ」 ソリンが冷たく答えた。 「お前にとっては簡単かもしれないけど」 ナシムは笑った。 「ややこしいほど値がつくものだからな」 その言葉にルハイが顔をしかめた。 「ここは本当に一言ごとに値だな」 ナヒラがその言葉を静かに断った。 「ハズランじゃそうしないと長く生きられない」 ルハイは返せなかった。今度はただ口を塞がれたのではなく、その言葉が間違っていないと分かっている顔だった。 シオンはもう一度アカを見た。 アカは相変わらず人よりも品物の間の質を先に見ていた。だがそれが不思議と、人をより鮮明に浮かび上がらせる方法だった。ルハイは文字で遅れてくる子で、カエルは手で先に塞ぐ子で、ソリンは口を閉じていても先に断つ人で、アテルは意味を整理しようとする人。アカはたった今の数言だけで、全部を違う角度からもう一度見させた。 ナヒラがごく低く言った。 「今日はこれ以上は見せない」 短い静寂。 シオンはその言葉がエテライトの欠片について言っているのか、アカについて言っているのか、それとも今この場でこれ以上深い真実を引き出すことについて言っているのか、一瞬判断できなかった。だが三つとも正解かもしれないというのが、いかにもハズランらしかった。 ソリンが訊いた。 「なぜ」 ナヒラは淡々と答えた。 「お前たちが持ち込みすぎたからだよ」 彼女が言った。 「あの欠片も、名前も、この子も、船の必要も。全部まとめて持ってこられたら、ここじゃまず混ざる」 シオンはその言葉の意味が少しは分かる気がした。今は一つを見ようとしても他の値が絶えず混じってくる。船を生かさなければならず、エテライトが要り、ルハイを放すのか縛るのかも決めなければならず、アカの話をもっと聞かなければならない。だからもっと深い判定はまだ下せない状態だった。 ハルンが短く言った。 「だから分ける」 ナシムがその言葉を受けた。 「よし。あの欠片は別、エテライトは別、話も別」 彼が言った。 「じゃあここからは本当に値が分かれるな」 シオンはその文を聞いた瞬間、次の段階が何かおぼろげに見えた。 ここからは - カエルの欠片と - エテライトの欠片と - アカの判定と - ルハイの知識と - ハン・ジウの船の修理の必要が それぞれ分離しながら、再び絡まり始める。 そしてその分離そのものが、結局彼らをもっと大きな板の上に押し上げる可能性が高かった。 アカは最後にごく低く言った。 「あれは門じゃない」 今度はシオンがすぐ訊いた。 「じゃあ何だ」 アカは少し黙った。 その沈黙は知らない人間の沈黙ではなく、分かっているがまだ名前をつけてはならない人間の沈黙のようだった。 そして彼女が答えた。 「門を覚えている真似」 シオンは息を失いかけた。 門を覚えている真似。 それは死んだ門よりもっと不吉な言葉だった。完全に断たれたものでも、完全に生きているものでもないもの。誰かを間違った場所へ連れていき続けることのできる、中途半端に生き残った構造。 今まで追ってきたのはただの切られた真実ではなく、 切られた跡を覆っている真似だったのかもしれなかった。 そしてそれを見分けるために、 自分たちは結局この砂漠のいちばん深い板の上まで入ってきたのだった。
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